今日の満員電車は一段と息苦しい。
オフィスカジュアルに身を包んだお姉さん。
白いブラウスとジャケットのきちんと感の中に、選ばれた青がさりげない個性を主張している。
マスクで表情は窺えないけれど、その奥の瞳はきっと疲れているだろうか。
額にかかる前髪が、ほんの少しの憂いを漂わせる。
身動きもままならない混雑の中、スカートの裾が僅かに揺れる。
その奥に、ふと意識が向かうのは、抗えない人間の性だろうか。
避けられない密着。最初はただの圧迫感だったものが、次第に不快な感触へと変わっていく。
青いパンツの布地を這う、見えない悪意の存在。
気づいていながらも、声を上げることのできないもどかしさ。
マスクで隠された 口元は、きっと強張っている。
それでも、毅然とした立ち姿を保とうとするお姉さんの姿は、どこか痛々しく、そして美しい。
満員電車という閉鎖された空間で繰り広げられる、言葉にならない攻防。
青いパンツが、その静かな抵抗を象徴しているように見える。
FHD
12:30
※年齢確認済み